携帯の接続料めぐり4社激論
3月6日、総務省で開催された接続政策委員会の第1回合同公開ヒアリングでは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・モバイルの携帯4社トップが一堂に会し、接続ルールのあり方について話し合った。ソフトバンクの孫正義社長は当初は第2回での発言予定だったが、オブザーバーとして急きょ出席。質疑応答時には積極的に意見を述べた。
●超過額100億円以上
接続ルールの議論をめぐる争点の一つは、接続料算定の透明化、明確化にある。
日本では異なる携帯会社の加入者同士が通話する際、携帯会社が互いに「接続料」を支払う。たとえばドコモユーザーがソフトバンクユーザーに電話をかける場合、ドコモからソフトバンクには接続料が支払われる。各社の接続料は年々引き下げられているが、ドコモが問題視しているのは、その格差。同社の古川浩司・企画調整室長は「ドコモが他社から受け取る接続料を100とした場合、KDDIが111、ソフトバンクモバイルが128、イー・モバイルが100」と指摘。ドコモとソフトバンクとは約3割の接続料の格差があり、ソフトバンクへの接続料支払い超過額が100億円以上になると明かした。
接続料は設備コストや加入者の規模などに基づき算出されるため、会社によって差が生じるのはやむをえない。ただしNTTドコモ、KDDIは携帯のシェアが25%以上であるため、接続料設定などの規制が課される。ドコモが受け取る接続料は規制に基づき算出されるが、ソフトバンクにはその適用がなく、割高な接続料を設定することができる。NTTドコモの山田隆持社長は「すべての携帯事業者に同じ規制を適用すべき」と主張する。
携帯事業に新規参入したイー・モバイルのエリック・ガン社長も接続料の透明化、引き下げを要望。さらに接続料の高止まりが、異なる携帯会社間での通話料を高くしているとの見方を示した。「日本の携帯の通話料は、自社の通信網内でばかり価格を下げている。固定と携帯、他社の携帯同士などでは競争が進んでいない」。
ただ、これまでも料金値下げは接続料とは関係なく行われてきたように、接続料を引き下げるだけで通話料が下がるという単純な構図でもない。孫社長は「音声だけでなくデータ料金などを総合的に考える必要がある。通話料の引き下げは事業者同士の競争によって行われるべきだ」と反論する。
接続ルールをめぐる議論でもう一つ注目されるのが、ローミングのルール化だ。ローミングとは、携帯会社が他社のネットワークを利用したサービスを手がけること。最近、ソフトバンクがイー・モバイルの通信回線網をMVNO(仮想移動体通信事業者)として借りてデータ通信サービスに参入したが、PHSのウィルコムも同様に、NTTドコモの回線網を借りてデータ通信サービスを開始した。
かねて孫社長は「国民の共有資産である電波は有効利用すべき」と主張していた。それに対し「周波数を与えられた携帯会社として、設備投資の責務を果たしたうえでのことか疑問」との声も根強い。合同ヒアリングの席上で山田社長は、「ローミングはあくまで新規参入事業者を対象とする時限的措置であると明確にすべき」と強調。ソフトバンクの動きを牽制した。
携帯会社のガリバーであるNTTドコモとソフトバンクとでは当然、立場も主張も異なる。接続料は携帯電話の事業者だけでなく固定電話の事業者も絡む話だけに、ルールをめぐる議論は今後も熱を帯びそうだ。・・・こちら
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