「キンカン」は○○にも効果アリ! 「正露丸」「救心」…あの伝統薬の意外な効能
■「キンカン」の効能は虫さされだけじゃなかった!
「♪虫さされに、キンカン」のCMは多くの人がご存じのはず。あのアンモニアの香り、肌から蒸発するときの清涼感、キンカンという名を聞いただけで、思い出されるのではないでしょうか。虫さされ用外用薬としての認知を確固たるものにしている、キンカン。その瓶をよーく見ると、「かゆみ、肩こりに効く」「虫さされ、肩こりに」と書いてあるのです。
発売元の金冠堂公式サイトでも「すばやく患部の熱を奪い去り、皮ふの知覚マヒや血行促進等により、鎮痛・鎮痒・消炎作用を示し、虫さされ、かゆみ、肩こり、腰痛、打撲、捻挫に対して優れた効果を発揮します」とあり、その効能は間違いなさそう。
より詳しい商品説明によれば、「トウガラシチンキ」「d-メントール」による血行促進作用やその他の有効成分による消炎・鎮痛効果で、肩こりや打撲の痛みや炎症を鎮めるとのこと。
キンカンが誕生したのは1926(大正15)年、つまり87年前。発売当初は火傷の治療薬として販売され、開発者自身による「煮えたぎった湯を自分の腕にふり注ぎ、キンカンを塗布して見せる」という実演販売を行っていたのだとか。戦後では、火傷以外に、神経痛などにも効く万能治療薬として販売されていた時代もあり、現在の「虫さされ」「かゆみ」に効く、というイメージが確立したのは、昭和30年代だったそうです。実は、虫さされ「にも」効く薬だったんですね。
■「救心」はプレゼンの緊張時にも使える!
「どうき、息切れ、気つけに」というセリフと、「♪救~心 救心」のサウンドロゴでおなじみ、救心製薬の看板商品「救心」。
階段をのぼって息が上がるときに…なんて映像をCMで目にしていたせいか、いわゆる滋養強壮系の薬だと思っていたのですが、公式サイトをよく見ると、「循環器系のバランスを整える」薬で、効能として挙げられている「どうき、息切れ、気つけ」とは、かいつまんで言いますと、以下のように解説されています。
どうき…心臓の働きが低下し、脈拍を増やすことで、送り出す血液の不足を補おうとしている状態
息切れ…心臓の働きが低下し、血液(酸素)を送り出す量が不足するため、呼吸を活発にしている状態
気つけ…心機能低下や血行の不全により、脳への酸素・栄養分補給が低下している状態を、薬により改善させること
息切れの解説には、こうも記されていまして、
激しい運動をしたときには誰でも息切れがしますが、軽い運動で息切れを感じるような場合には呼吸器の疾患だけではなく心臓の働きが低下していることが原因として考えられます。
つまり「息切れ」は、激しい運動で息が切れる状態ではなく、ちょっとした運動で息が切れてしまう状態というわけですね。相棒のピンチを救ったあとに疲労回復のために「ファイト!一発」するのとは少々状況が異なるのです。
効能書きには上記の3つが記載されていますが、公式サイト「こんなときにお試しください」のページでは、より具体的なシチュエーションが紹介されています。
・自律神経系のバランスを調整
・足のむくみ
・めまい
・たちくらみ
・頭がボーッとするとき
・緊張によるドキドキ、胸の苦しさ
自律神経を整えたいときや、人前に出たときの「あがり」「ドキドキ」にも役立つとは…。プレゼンや発表時には、「人の文字を書いて飲み込むおまじない」の代わりに、救心が使えるということですね。小さなサイズながら、非常に苦いため、間違ってもかみつぶしたりしないようご注意ください。臥薪嘗胆気分を味わえます。
ちなみに、「救心」の製品としての歴史は、1913(大正2)年にさかのぼり、創業家の家伝薬「ホリ六神丸」として販売したのが始まり。それに改良を加えたのが、現在販売されている「救心」だそうです。「ホリ六神丸」は、現在も救心製薬で販売されています。
■「毒掃丸」は吹出物、肌あれにも!
現在CMは放映されていませんが、山崎帝国堂の「複方毒掃丸」も明治時代から販売されている伝統薬。容器にも「生薬の便秘治療薬」と記されているとおり、便秘薬として知られています。「毒を掃う」との名から想像しやすい効能ですね。
薬局のなかに「毒」と書いてある商品があるのに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、すでに100年以上、この名前で通しているわけです。
さて、毒掃丸の効能・効果は「便秘」になりますが、公式サイトを見ると、それに伴うこんな症状にも効果があるとされています。
便秘に伴う次の症状の緩和:吹出物、肌あれ、食欲不振(食欲減退)、腹部膨満、腸内異常醗酵、痔、のぼせ、頭重。
と、言うことは、便秘によって吹出物が出たり、肌が荒れたりするわけです。女性にとってはよく耳にする話かもしれませんが、男性では気づかずに肌ケアにいそしんでいる方の方が多いのではないでしょうか。まあ、私もそのクチだったのですが。
■「正露丸」は虫歯の痛み止めにも!
最後にもう一つ、下痢止めとして知られる「正露丸」。胃腸薬の「正露丸」を販売している会社は複数ありますが、CM放映をしている大幸薬品の「ラッパのマークの正露丸」がもっとも有名な正露丸でしょう。これも、胃腸薬としての100年以上の歴史を持つ、伝統的な薬です。
その効能の1つに、胃腸の薬からは思いもよらないものがあります。それは…
正露丸は虫歯痛にも使われています。
正露丸の主成分「木(もく)クレオソート」には、大腸のぜん動を正常化する働きと腸管内の水分量を調節する効果がありますが、それが「歯の鎮痛鎮静や根管の消毒用として使用されている」ため、虫歯に詰めて、一時的な虫歯の痛み止めとして使えるのだそうです。
ただし、虫歯の治療になるわけではなく、あくまでも痛みを止めるだけなので、痛みが鎮まったらすぐに歯医者へ行った方がいいでしょう。
いずれも100年近く前からある伝統的な医薬品で、現在もなお販売中のものばかり。「古くさい」と思ってしまいがちですが、ロングセラーになっているのには、「いろいろな症状に効く」というのも理由の一つになっているのかもしれませんね。
知らんかった。
というか市販薬はあんま使う機会ないしな。
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