首位奪還も喜べないドコモ ソニーのゲーム機頼みという凋落ぶり
大阪・日本橋。師走も押し迫った昨年12月17日、上新電機の家電量販店「ディスクピア日本橋店」(大阪市浪速区)には開店前の早朝からSCEの新型携帯ゲーム機「プレイステーション Vita(ヴィータ)」を買い求めるゲーム愛好家の長い列ができた。
初週で32万台を販売したPSヴィータは無線通信対応機種と、携帯電話回線に対応した機種の2タイプが発売され、回線にはドコモの「プリペイドデータプラン」を利用する。この契約数がドコモの「プリペイド契約」の19万件に含まれており、昨年12月にドコモが首位を奪還した原動力となった。
このように集計にはPSヴィータやデータ通信カード、フォトフレームのような携帯電話以外の契約も含まれるため、業界内では純増数イコール各社の力関係という考え方に、疑問の声も上がっている。
KDDIの田中孝司社長は、産経新聞のインタビューで「携帯(契約の)純増数の勝負が重視されているが、実態を反映しなくなってきている」と指摘。「実質的な純増は追うが、いたずらに純増を追うような考えからは一抜けしたい」との方針を示している。イー・アクセスも同様の理由で12月から純増数の公表を取りやめた。
実際、各社間の契約者の移動を示す番号ポータビリティ(MNP)の12月の利用実績では、ドコモがマイナス9万4400件と大幅な転出超過。一方、KDDIは5万5400件の転入超過、ソフトバンクも3万9000件の転入超過と純増数とは逆の結果が出ている。
KDDIは、スマートフォン(高機能携帯電話)でトップのブランド力を持つ米アップルの「iPhone(アイフォーン)」を発売以来、契約は好調に推移している。これに対し、ドコモはアイフォーンを販売しておらず、主な国内外メーカーの携帯電話の多くはライバル会社でも販売されている。いまや携帯電話で独自性を打ち出すのは難しく、今後も苦戦が予想されるだけに、サービスやイメージ戦略で差別化を図らざるを得ない状況だ。
その意味では、ソニーのゲーム機と連携したドコモの戦略は大成功。さらに昨年からは高速データ通信規格「LTE」を利用した新サービス「Xi(クロッシィ)」を導入し、高い評価を得ている。
年明けからは、学生がいる家庭向けの料金キャンペーンに合わせ、アイドルグループのAKB48を起用したテレビCMを開始。学生の人気が高いAKB48の起用で、キャンペーンをアピールする。また、日本語と英語など異なる言語で会話できる携帯電話向けの「通訳電話サービス」のサービスも予定しており、巻き返しに懸命だ。
ハード(携帯電話)のみの勝負から、ソフト・サービスを含めた総合的なサービス競争で、真のトップに返り咲くことはできるのか-。王者ドコモの今後の行方が注目される。
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